エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
週末、落ち着いたグレーの上品なワンピースを纏い、再び一ノ瀬邸に向かった。


「翔さん、奥さま、いらっしゃいませ」


玄関で出迎えてくれた坂井さんはにこやかで、私たちの到着を待ち構えてくれていたようでホッとする。

けれども、坂井さんに『奥さま』なんて言われて、うれしいやら恥ずかしいやら。


「重人さんはもうお越しです。悠馬(ゆうま)さんはあと十五分ほどでお着きになると、先ほど連絡が」


一ノ瀬家の長男は悠馬さんというらしい。


「了解。応接室?」
「はい。旦那さまはまだ書斎にいらっしゃいますが、すぐに行かれるかと。奥さまもどうぞ」


翔さんについてお父さまと面会した部屋に向かうと、重人さんと、胸のあたりまである髪をふわふわに巻いた姿が印象的な、スレンダーな女性がコーヒーを口にしていた。

奥さまだろう。


「ご無沙汰してます、恵(めぐみ)さん」


翔さんが奥さまに声をかけると、彼女は立ち上がった。
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