エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
重人さんと手を組んで、うちと取引のあった東横銀行を通じてあえて苦境に立たせ、それから救うことで私たちを信用させた、とか?

そんなふうに考えが飛んでしまうのは、前に会ったとき『他人のものを奪うのが得意』とつぶやいた重人さんの声が耳に残っていて離れないからだ。


だってやっぱりおかしいもの。
翔さんほどの地位のある人が、つぶれそうな会社の娘に惚れるなんて。

こんなシンデレラストーリー、現実にあるわけない。


重人さんの発言がショックすぎて、考えがよくないほうにどんどん転がっていく。


「砂羽」


翔さんに名前を呼ばれたが、動揺して返事ができない。

同棲を急ぎ、結婚まであっという間に進んだのは、それを悟られる前に入籍を済ませたかったから? 

ううん。翔さんはそんな人じゃない……。

相反する考えが頭の中で交錯して、冷静になれない。


「兄さん、その思わせぶりな言い方は……砂羽!」
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