エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「どなたかと思ったら、峰岸織物のお嬢さんなんだって?」


そのあと私に話しかけてきたのは、白髪のやせ型の男性だった。

私は瞬時に体が固まった。
この人こそ父を困らせてきた人だからだ。

うちと同じように老舗の繊維メーカーで社長を務める彼は、峰岸織物を蹴落としたくてたまらないらしい。

昔から商品の評価は圧倒的に我が社に分があり、そのせいで影の存在的な扱いを受けてきたようだ。

しかし、それは我が社の努力で勝ち得た地位であって、嫌味を言われる筋合いはない。


「はい。初めまして。鈴木(すずき)社長でいらっしゃいますよね。生前、父がお世話になりました」


私は背筋を伸ばして会話を始めた。


「いえいえ。それにしても、着物で乗り込んでこられるとは。よほど自信がおありなんですね」


嫌味の開始だろうか?
私は一瞬ためらったものの、きちんと鈴木さんの目を見てから口を開いた。
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