エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「ふっ。いいんだよ。もっとリラックスして。胃に穴が開く」
「はい」


雲の上の人だと思っていた彼は、意外にも話しやすく、緊張がほどけていく。


「でも、お父さんが亡くなり取引を停止する会社が続出して、経営は苦しくなりつつある」
「その通り、です」


隠しても仕方がない。正直に答えた。


「それをあなたひとりでなんとかしようと走り回っている。俺も経営者だから、気持ちはよくわかる。だけど、本当はお酒、飲めないんじゃない?」


バレてるのか、と私はうなずいた。


「はー、やっぱり。それなのに頑張って飲んで、嫌味に耐えて……倒れるまで自分を追い込むのはやりすぎだ」


ダメだ。まだアルコールが抜けきっていないのか、優しい言葉をかけられたからなのか、瞳が潤んできてしまう。

泣いちゃダメ。
強くならなきゃ、峰岸織物の伝統を守るんでしょ?

一ノ瀬さんに背中を向け、必死に唇を噛みしめると……。
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