エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
彼は電話を終えると、すぐに私の足を覗き込む。


「足は平気?」
「大丈夫です。私は歩けますので、どうか会議に行ってください」
「間に合わせるって言っただろ?」


彼は先程までとは違う優しい声色で私に話しかけてくれる。


「はい。ありがとうございます」


これ以上言っても彼は引きそうにない。
私は素直に送ってもらうことにした。


「一ノ瀬さん、毎日遅くなるんですか?」
「毎日というわけじゃないけど、遅くなることも多いね。だから食事も適当になる」


それで、『手料理が食べたい』なんて言いだしたんだ。


「適当って……なにを召し上がっているんですか?」
「そうだなぁ。ビールを飲んでつまみを買ってきて終わりのことが多いかな」
「えっ! それはホントにダメです!」


さっきお説教をして後悔したばかりなのに、どうしてもムキになってしまう。

父を病気で亡くして、健康でいられることのありがたみを思い知ったので余計に。
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