エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「そう、ダメだよね。で、代償を思いついたわけ」


彼は軽くそんなことを言ってくるけど、手料理となれば彼の家に行かなくてはならなくなる。

なんと答えていいのかわからず目を泳がせていると、彼は私に少し近づき耳元に口を寄せる。


「代償を受け入れるか、迷ってる?」
「えっ、あのっ……」


うっとりとしたような視線と少し濡れた唇。
妙な色気を放つ彼を前に、質問されただけなのに、心臓の高鳴りが抑えられなくなった。


「あー、でも、今日は遅くなるから我慢するよ」


彼は白い歯を見せる。


「今日って……」


手料理の件は本気なんだ。
私が動揺しているうちに、五分ほどで会社の前に到着した。


「はー、もう着いたのか」
「一ノ瀬さん、本当にありがとうございました」


わざわざ降りてきてくれた彼に頭を下げる。


「足、ちゃんと消毒するんだよ。せわしなくて申し訳ないけど、今日はこれで」


彼は一瞬切なげな視線を私に送る。
それに気づいてしまった私の胸がコトンと音を立てた。
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