【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「用件があるなら、早く言ってくれない?
俺だって暇じゃないの」
こんなの先輩じゃないよって言いたくなるくらい冷たい。
冷たい先輩に怯んでいると、その突き刺す様な視線は、私を固まらせる。
「キスのことなら謝らないから」
「……っ!?」
「後悔してないし。」
「……」
「振られちゃったから余計に。
天沢ちゃんの"はじめて"奪えてラッキーなんて思ってるよ?」
「最低でしょ?俺」と、先輩は乾いた笑いをこぼした。
ひどい。
そう、今だって思ってる。
ファーストキスを奪われて、怒らない人なんかいない。
例えそれが、好きな人が相手でも。
それでも、私だって他の人に奪われるよりは
先輩に奪われた方が全然いいって思ってる。
惚れた弱み。
嫌いにはなれないし、余計にあの唇の熱を思い出して、苦しくなって。
先輩の夢なんか見ちゃうほど、先輩に溺れてる。
ねえ、分かってよ先輩。
私、こんなにも先輩のことが。