【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
先輩からの答えはない。
数秒黙っていると、ため息が聞こえてきて驚く。
ーーそして。
「その気持ち、勘違いなんじゃないの?」
突き放された。
その言葉に、冷えていく気持ちは、体温を失わせるどころか。
込み上げてきた涙のせいで、目頭が熱い。
否定……しないでよ。
好きって言ったくせに
なんで私が好きって言った瞬間、突き放すの。
先輩の感情はまるで万華鏡だ。
動かせば、動かすほど、コロコロ変わって、落ち着かない。
それでも。
冷たくされたって、なんだって。
この気持ちに、嘘偽りはないから。
先輩の元に行こうと、階段を降りる。
すると。
「きゃっ……!」
ーーガクッ、と。
ボヤけた視界のせいで、何重にも見える段差を踏み外した。