【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「先輩、ありがとうございました。
その……背中、大丈夫ですか?」
私を庇ったせいで、先輩に怪我を負わせてしまったのに。
自分の怪我よりも、私を優先する先輩の優しさに、胸が痛む。
だけど。
「言っとくけど、罪悪感を感じる必要なんてないから。
むしろ、俺が天沢ちゃんに怪我させたようなもんだし」
「違いますよ!あれは私が勝手に先輩を追いかけたからであって……」
先輩のせいじゃないのに。
こんな時だけ意地悪を言ってくれない、先輩の優しさに。
なんだか泣けてくる。
先輩は、私を落ち着かせようと頭を撫でてきた。
「わかったわかった。じゃあお互い様ってことにしよう」
「……」
「なっ?」
「……はい」