【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
◇
「ねえー、先輩。降ろしてよ~、恥ずかしいよ~」
「やだね。怪我してる天沢ちゃんを降ろすなんて、そんなひどい真似、さすがの俺でもできない」
「……もっとひどいことした人が、なに言ってんだか」
「もう一度その口塞いだろうか?
ついでに激しさも追加で、してあげるよ」
「ごめんなさい」
保健室から出て数分が経つ。
足を怪我してる私を先輩がおぶって、帰り道を歩く。
この年になって、おんぶされるとは思ってもみなかったから。
正直なんの拷問なんだろうこれって、思ったけど。
先輩の横顔があまりにも嬉しそうだから、なんだかんだ許してしまう。
それでもやっぱり……通行人に見られる度、恥ずかしくなって、先輩の背中で顔を隠すけど。
背中を怪我している先輩は「痛いんですけど。」と、苦笑いしている。
先輩の背中を気遣いながら、背中からできるだけ体を離していると。
数分後、無事に私の家の前に到着。
先輩が私を降ろす。