【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「なにしに来た?」
先に声をかけたのはミア先輩の方。
その低い声は、冷静な声色のくせに、どこか落ち着かないような荒々しさを感じる。
「この子に助けてもらったお礼……言ってなかったから」
チラッと私を見る女の人に、思わずペコリと軽く頭を下げて反応してしまう私も私だ。
でも、あの状況。
正直私はなんの役にも立ってない。
どっちかっていうと、ナンパ男達の怒りを煽っただけで。
あの場に先輩が来なかったら、多分二人ともやられてたから。
「おっ、お礼ならミア先輩に……」
だって本当の事だから。
恐る恐るそう言うと。
「必要ない。
天沢ちゃん助けるついでに、助けただけだし」
太陽を隠した、パラソルの影の下。
ミア先輩の言葉に傷ついて、顔を歪める女の人は、せっかくの美人が台無しだよ。
ねえ、先輩。
どうしてその人に、そんなに冷たいの?
やっぱりなにかあったんじゃないかって、嫌でも疑っちゃうよ。