【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
いい女は悪い女へと変貌をとげる。
昔の女は匂わせるのが上手だ。
どっちが本当の優愛さんなんだろう。
知りたがってたくせに、知ってしまった"今"が怖い。
「天沢ちゃんに、余計なこと言わないでくれる?」
「へっ?私は別にそんなつもりで言ったんじゃないよ。
私の時みたいに失敗しないようにって教えてあげただけで、」
「そんなの必要ない、だって」
先輩が私を抱き締める。
目は優愛さんを睨んだままだ。
でも、なんだか守られているみたいで、悪い気はしない。
「こんなに大事に思えるのは、天沢が初めてだからね」
ドクンと鈍い音が鳴ってる。
その音は、ミア先輩の言葉で嬉しがってる私と
傷ついている優愛さん……どっちの音なんだろう。
「美秋でも、人を好きになれるんだね」
屈んでいた体勢がキツかったのか
意味深な言葉を吐きながら、優愛さんは体を伸ばし始める。
ミア先輩でも人を好きになれるんだねって……どういう意味なんだろう。
絶対この二人の間に、なにかあった。
でも、今は私が彼女だから。