【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。





いい女は悪い女へと変貌(へんぼう)をとげる。


昔の女は匂わせるのが上手だ。


どっちが本当の優愛さんなんだろう。


知りたがってたくせに、知ってしまった"今"が怖い。



「天沢ちゃんに、余計なこと言わないでくれる?」



「へっ?私は別にそんなつもりで言ったんじゃないよ。
 私の時みたいに失敗しないようにって教えてあげただけで、」


「そんなの必要ない、だって」



先輩が私を抱き締める。
目は優愛さんを睨んだままだ。

でも、なんだか守られているみたいで、悪い気はしない。



「こんなに大事に思えるのは、天沢が初めてだからね」



ドクンと鈍い音が鳴ってる。

その音は、ミア先輩の言葉で嬉しがってる私と
傷ついている優愛さん……どっちの音なんだろう。




「美秋でも、人を好きになれるんだね」


屈んでいた体勢がキツかったのか
意味深な言葉を吐きながら、優愛さんは体を伸ばし始める。



ミア先輩でも人を好きになれるんだねって……どういう意味なんだろう。


絶対この二人の間に、なにかあった。


でも、今は私が彼女だから。






< 230 / 309 >

この作品をシェア

pagetop