【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「とにかく、変な噂が流れてるんだから。
あんま目立った行動しない方がいいよ?
なにかあったら、傷つくのは詩の方なんだから」
なんだかんだ心配してくれてるまい実ちゃんにそう忠告され、ゆっくり頷く。
チャイムが鳴りそうなのを見計らって、教室に戻ると、背中がチクチクと女子の視線で痛い。
美人な彼女がいて、それなのに浮気相手はこんな平凡を絵に描いた様な私なんて。
どう考えてもおかしい話を皆信じるんだもん。
普通逆じゃない?
私みたいな平凡彼女に満足できなくて
結局美人と浮気した!っていうなら分かるけど……。
そもそもミア先輩は浮気する様な人じゃない。
けど、あの顔だ。
実際選び放題なんだよ。
それなのに。
「なんで私なんか好きになったんだろう……」
変な噂で、考えないようにしてた謎は深まるばかり。
先輩ってもしかして……目が疲れてるから、視界がボヤけて見えるのかも。
それで私の顔、ちゃんと見えてないとか?
だっておかしいよ、ミア先輩。
私のこと可愛いとか言うんだよ?
小学生の頃までは、親や友達からいっぱい言われてた言葉も。
中学に入るとなかなか言われなくった。
特にミア先輩以外の男子からは、ここ数年『可愛い』なんて言われたことない。
そう考えると先輩って、やっぱり変だ。
そうだ。
確か鞄に使っていない目薬があったはず。