【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
静かにため息を吐いた時に、先輩の目元に出来た影が、怖い。
「俺ら学校で喋るのも顔合わせるのもやめよっか」
「……っ、なんで!?」
そんなの望んでないのに、先輩が変なこと言い出すから。
驚いて勢いよくイスから立ち上がると。
周りがこっちに視線を向ける。
恥ずかしくなって、ゆっくりと腰を下ろしたところで。
先輩は無表情のままで、なにも反応してくれない。
いつもみたいに笑ってくれない。
「俺と関わってるから、今日みたいなことが起きたんでしょ。」
「だからって、学校で先輩と話せなくなるなんて……そんなの辛いよ」
「でもな、天沢なにも言ってくれないし。
守る術、こんなことしか思い付かない」
「……」
「俺だって辛いの、わかる?
だけど天沢に何かあるのはもっと辛いわけ」
「……先輩は、私と学校で話せなくても、それでもいいんですか?」
「嫌に決まってるじゃん。
でもな、天沢に何かあるのはもっと辛い」
「……」
「俺は俺なりに天沢のこと大切にしてること、いい加減分かって。」