【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
なんでここまで、関係が拗れちゃうかな……。
先輩が私のこと大切にしてることくらい、そんなの前から知ってるよ。
だけど、伝えたいことが多すぎて、今言いたいことを言葉に表せられないから、ムズムズする。
……こんな時、優愛さんだったらどうするのかな?
優愛さんは綺麗で、ミア先輩のファンからも認められてる存在で。
そんな人が元カノときた。
釣り合ってない自分が恥ずかしい。
でも別れることができない。
先輩のことが好きだから。
それってワガママなこと?
弱音も吐けないのに、心が弱い自分が大嫌いだ。
「先輩、わたし……」
その言葉の続きなんて、なにもないくせに。
とにかく何か言葉に表さなきゃって、焦って。
手を動かすと、肘にグラスが触れて、床に落ちてしまった。
パシャッと溢れたオレンジジュースが床に広がれば、それがタイムリミットだ。
店員さんが雑巾を持ってやってきて、謝る私に笑顔で応えて、床を拭く。
「出よっか」と、先輩は一言いって、お会計してからお店から出た。