【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。





なんでここまで、関係が(こじ)れちゃうかな……。


先輩が私のこと大切にしてることくらい、そんなの前から知ってるよ。



だけど、伝えたいことが多すぎて、今言いたいことを言葉に表せられないから、ムズムズする。



……こんな時、優愛さんだったらどうするのかな?


優愛さんは綺麗で、ミア先輩のファンからも認められてる存在で。


そんな人が元カノときた。


釣り合ってない自分が恥ずかしい。

でも別れることができない。


先輩のことが好きだから。


それってワガママなこと?


弱音も吐けないのに、心が弱い自分が大嫌いだ。




「先輩、わたし……」


その言葉の続きなんて、なにもないくせに。

とにかく何か言葉に表さなきゃって、焦って。


手を動かすと、肘にグラスが触れて、床に落ちてしまった。


パシャッと溢れたオレンジジュースが床に広がれば、それがタイムリミットだ。



店員さんが雑巾(ぞうきん)を持ってやってきて、謝る私に笑顔で応えて、床を拭く。


「出よっか」と、先輩は一言いって、お会計してからお店から出た。





< 264 / 309 >

この作品をシェア

pagetop