【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
でも。
「私"が"優愛さんに話があるんです」
「……」
「だから先輩、先に帰っててください。
私は大丈夫なんで」
元カノなんかに負けたくないよ。
その思いが、私を強気にさせる。
「行きましょう、優愛さん」
ミア先輩から離れて、優愛さんを真っ直ぐと見ながら言う。
後ろから「勝手にすれば」の先輩の怒りを含んだ静かな声。
ミア先輩のピリついた雰囲気に
優愛さんの友達3人が、その場から動けないでいた。
「ねえ、詩ちゃん。……美秋怒ってるみたいだけど、放っておいて大丈夫なの?」
早足の私に合わせて歩き始める優愛さんが
何度も後ろをチラチラ見ながら、心配してくるけど。
「ミア先輩には後で謝っておきます。
それに、先輩の機嫌の取り方知ってますから」
今は私の彼氏なんだから。
優愛さんがそんなこと気にする必要ないもん。
嫉妬すればするほど、性格が悪くなっていく。
それなのに。
「美秋、そういう勝手な子、嫌いなんじゃないかな~。
俺様なとこあるし」
まるで、先輩のことならなんでも知っている口ぶりだ。
負けじと、元カノ感を出してくる優愛さんってば、私と同じくらい性格悪いんじゃないかな……?
バチバチとお互いの間には火花が飛び散っていた。