【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。





怒鳴り声が突き抜ける様に、長い廊下を走った。


わらわらと、その声に驚いて、教室の中にいる人達や廊下を歩いていた人達が「なんだなんだ?」とこっちに視線を渡す。



先輩の怒りに、ビクッと体を震わせたとき。



「なに、うるさいんだけど」


教室から顔を出すミア先輩。


ゆっくり振り向くと、背後にミア先輩がいることに驚いて。
さっきまで顔を歪めて怒っていたくせに、すぐに乙女の顔になる先輩ファンは、意外と単純だ。



「ミア先輩」


ミア先輩のファンが、目がハートマークになっている今のうちに、ミア先輩に話しかける。



握っていた拳が汗をかいている。


彼氏相手に名前を呼ぶだけで緊張するなんて、変だ。



「先輩、どうして朝無視したんですか?」


「なんのこと?」


「惚けないでよ」





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