【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「詩、これ!」
まい実ちゃんにひょいっと投げられた物を、受けとる。
手の中に収まりきらないそれは、まい実ちゃんがよく使うサングラスだった。
「これでラップでもなんでも、元カノにカマしてきなYO、詩」
「まい実ちゃんってたまにバカだよね」
「なにを~~!!」
「でも、ありがとう!」
真面目に怒ったり、慰めてりすることが恥ずかしくて
照れ隠しでフザケテしまうってことくらい
親友なんだ、そんなのお見通し。
受け取ったサングラスを軽く握り。
教室から出て、今日何度も走った廊下をすごい勢いで駆け抜ける。
正直、こんなにミア先輩のこと好きになるなんて
思っても見なかった。
だって、ラブレターを下駄箱に入れられるとこ見られていなかったら
私たち、関わってすらいなかったんだよ?
先輩は、最初はどちらかというと苦手なタイプで。
だからこそ、関わりたくなかったし
なんかチャラチャラしてるし
強引だし。
いいとこなんて一つもない。
そう思いたかったのに。
なんか憎めないし
なんだかんだ護ってくれるし。
たまに真剣になるところなんて、計算してるんじゃないかって疑いたくなるくらい……かっこいいし。
ほんと、なんでこんな人好きになったんだろうって思うけど。
こんな人だから好きになったんだなって思う。
支配されちゃってるよ、先輩に。
だってこんなにも、好きが溢れてるんだもん。