囚われの王子様。
「香子さん、美人なのにもったいないですよ」
「はいはい、おべっかはいいから仕事してね」
「もー、本当のことなのにー。絶対どこかに居ますよ、香子さんの王子様!」
王子様、ねえ。
神崎さんは、私のこの考え方を知っていてもなおこうやって誘ってくれる。
それは、からからに渇ききっている私のためだ。
それは去年の夏、部署での暑気払いの席でのこと。
ひとりで居るほうが楽、という私の言葉に『それはまだ自分だけの王子様に出会ってないからだ!』と半ば怒ったように言い放った神崎さん。
それから神崎さんによる、私の王子様探しが始まった。
まあ、9割がた断ってるけど。
合コンが物凄く嫌い、というわけじゃない。
実際、前の彼氏と別れてからの半年ほどはかなりの頻度で合コンに参加していた時期もあった。