囚われの王子様。

「…ありがとうございます」

「いいって。それに、あと俺がするから。先に車乗ってて」

「え、そんな」

「いいから。冷えるだろ?」


お金を払ってもらった挙句、この寒空の下須藤さんひとりで灯油を入れさせるなんて。


これは絶対に譲れない。私ひとりで暖かい車の中になんて戻らない。

そう、心の中で固く決意した瞬間。


背中を押されて、一歩前へとよろけ出る。


「風邪引かれても困るから」


早く乗れ、と片手でシッシッと追い払うかのような仕草で私を車内へと促す須藤さん。


固い決意はどこへやら。結局、須藤さんの優しさに甘えて暖かな車の中に入ってしまった。

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