囚われの王子様。



「本当にありがとうございました」


灯油を2タンク分、合計36リットルを無事購入し、私のマンションへと運んでいる道中。

こんなにたくさんの灯油を買ってくれた須藤さんにもう一度きちんとお礼を言うと、


「いや、これお礼だから。こちらこそ、昨日は本当に助かった」


と、逆にお礼を返されてしまう。


でも、そっか。これは私が昨日須藤さんの彼女のフリをしたお礼。
貸し借りなしになったって思えばいいのかな。

そう思うとなんとなく罪悪感が薄れていく。


「これでしばらくは煩いこと言われなくて済む」


まっすぐに前を見据えてハンドルを握る須藤さんがぼそりと呟く。

その呟きが耳に届き、なぜだかそれを受け流すことができなかった。


「煩いことって…。この前みたいに、どうして彼女を作らないのか、とかですか?」


思ったことを口に出してしまった瞬間、立ち入ったことを聞いてしまったと後悔したけれど。


「ああ」

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