囚われの王子様。
「私、恋愛とか苦手で。ひとりで居るのが一番楽だし」
苦手、というか。
人を好きになる感覚とか忘れてしまった。とまではさすがに引かれそうで言えないけど。
これが、所謂『こじらせてる』っていうやつか。
20代前半までは結構恋愛してたんだけどな。いつからこうなったんだか。
と、記憶を遡りかけたとき、
「まあ、確かにひとりは楽だよな」
須藤さんがまさかの共感。
「結局、相手いると色々合わせたりしないといけないから。ひとりが気楽でいいよな」
まさしくその通り。
うんうんと力強く頷く私のとなりで須藤さんはひとりごちるように続けた。
「結局、相手の気持ちなんて全部は分からないし、自分の気持ちも全部分かってもらえはしないんだよな」
ぼそっと呟いた、言い捨てたその台詞に、須藤さんって昔なんかあったのかな、と今までなんとなく心の中にあった疑問がはっきりと浮かぶ。
だけど、至極面倒くさそうに話す横顔に言及はできなくて。
さっき踏み入ろうとして交わされたのもあって、合わせるように『そうですね』としか返せなかった。