明るい不倫
呼び止めたいと思った。

けれど、呼び止めることはできなかった。

傍にいる美也が不安げでいることは分かったし

自分に妻を責める権利などあるはずもない。

ダブル不倫なんて

テレビやドラマのことだと、他人事だと思っていた。

まさか・・

恵子が・・。

「行こうか。」

徹は寒々しく微笑んで、美也の腰を抱き寄せた。

「うん。。あの・・大丈夫?」

「・・ああ、うん。」

大丈夫じゃない。

とは言えるわけがない。

だけど・・

「もしかして・・奥様?」

そりゃ・・分かるよなぁ・・

そう思って、俺はコクリとうなづいた。
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