『俺様御曹司の悩殺プロポーズ』の文庫に入れられなかった番外編
小春の説明によると、こういうことだった。
風邪だと思い内科で診察を受けて症状を話したら、妊娠じゃないかと言われて、すぐに近くの産婦人科で妊娠検査を受けたそうだ。
それで妊娠五週目だと知ったのが、昼前のこと。
すぐに風原に報告のメールを送ったのだが……そこはドジな小春。
慌てたあまりに送り先を間違えて、以前、クイズ番組の司会をした時にお世話になった、土霧という名のディレクターに妊娠報告してしまったらしい。
その土霧ディレクターは偶然にも、この『びっくり仰天、世界のマル秘スクープ!』の制作担当でもあった。
それで急遽、『ドッキリやろう!』と持ちかけられたというのだ。
スタッフと一緒にスタジオセットを片付けている土霧を遠くに眺めながら、風原は溜息をついた。
自分より先に妻の妊娠を知られたなんて悔しいが、それは小春のミスであり、彼を責める言葉は見つけられない。
だから溜息をつくしかできないのだが、そのせいで目の前にいる小春の顔が曇ってしまった。
「そうですよね。涼さんに一番に知らせるべきなのに、私ったらこんな時までマヌケで、ごめんなさい……」