王太子様は、王宮薬師を独占中~この溺愛、媚薬のせいではありません!~
「……君は侵入の罪で投獄だ。ギルバートを救ったふりをして、妃に収まるつもりだったんだろうがそうはいかないぞ」
「父上?」
「シャーリーン殿も言っていただろう。この娘が作った薬でお前がおかしくなったというなら、救うまでも含めた自作自演じゃよ」
「違う! エマはそんな娘じゃありません」
「お前は騙されてるんじゃよ。……娘、反論はあるか?」
必死に反論してくれるギルバートの姿は嬉しかった。でもエマは、反論する気にはなれなかった。
そう思われても仕方ない。惚れ薬は確かに自分が作ったのだ。
「薬を使ってはいません。でも作ったのは、……たしかに私です」
「認めたな。衛兵。この娘を地下へ」
「エマ!」
「……ごめんね、ギル。こんなことになるなんて思っていなかった。だけど私は、薬屋なの。薬を作り出した責任を取らなきゃ」
「エマ、嘘だろう? 嘘だと言ってくれ」
ギルバートの懇願に、エマは目尻に涙を浮かべて笑った。
「作ったのは本当に私なの。……でもね、ギル。薬の効果を解くのは、真実の愛よ。私はあなたが好きです。それだけは本当」
「ええい! 早く連れていけ」
国王の声に、追い立てられるように衛兵はエマを後ろ手で縛り、引っ立てた。
エマが部屋から消えていったのを見て、ギルバートは国王へ掴みかかる。