20代最後の夜は、あなたと
翌朝早く、羽田から新千歳空港へ飛び立った。


札幌駅のロッカーに荷物を預け、行ける範囲で観光した。


市場で海鮮丼食べて、夜は寒空の下でラーメンの列に並び、最後は泊まるホテルのバーで過ごした。


夜景がきれいで、キラキラまぶしかった。


雰囲気におされ、ふたりとも小声で話していたけど、話題がとぎれた瞬間、


「紗和、俺と札幌で暮らす気ある?」


伊勢くんが突然言うから、私は驚いて少しの間何も言えなかった。


「えっ・・・それって、どういう意味?」


「実はさ、俺、転職しようと思ってるんだ。


札幌に本社があるメーカーで、大学の先輩から誘われてて、ずっと断ってたんだけど」


「うちの会社に、不満があるの?」


「不満なんてないけど、俺もともと地方出身だし、あんま東京になじめなくてさ。


それに、紗和がいたから、紗和に告白できるような男になるまでは、東京で頑張ろうって思ってたから」


あまりにも突然のことで、正直何も考えられなかった。


「驚かせてごめん。


紗和との将来のこと、真剣に考えてるから。


俺と結婚して、札幌で暮らしてください」


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