20代最後の夜は、あなたと
「紗和、ほんとは無理してんだろ?


札幌へ行くこととか、俺との結婚とか、妥協してんじゃないか?」


「そんなことない」


「じゃあなんで、俺の引き継ぎ受けるんだよ?


俺と結婚するなら、紗和も3月末で辞めなきゃだろ?」


「あ・・・」


そうだった。


私は、なんにもわかってなかった。


伊勢くんの仕事を引き継ぐってことは、伊勢くんと結婚しないってことだ。


「うっかりしただけなのか、結婚するつもりないのか、どっちだよ?」


「・・・たぶん、うっかりしてただけだよ」


「たぶん、かよ。


霧島課長が言ってた通りだな」


「えっ、それってどういう意味?」


「今日、課長に呼ばれて言われたんだ。


紗和が、俺と結婚することをきちんと考えてるなら、引き継ぎを受けたりするわけないって」


「それは・・・」


「紗和は、俺とのこと真面目に考えてるわけ?


課長に、俺と結婚するから辞めます、って話したか?


話してないよな、課長聞いてないって言ってたもんな」


「話してない、です」


「なあ、盛り上がってんの俺だけ?


俺は紗和とずっと一緒にいたいんだよ。


すげー好きだし、だから結婚したいんだろ。


紗和は違うってこと?」


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