20代最後の夜は、あなたと
チームで数回打ち合わせをして、新製品のプロジェクトが始動した。


これまで以上に、霧島課長や伊勢くんと仕事することが増えた。


大変なのは設計部やデザイナーさんで、伊勢くんと私は雑用係だったけど、新製品に関われるだけで楽しかった。


夏休み明けに数点のイメージパースができあがることになった。


夏休み前の最後の打ち合わせのあと、私は伊勢くんに誘われて、二人で居酒屋へ行った。


「お疲れー」


「お疲れさまー」


乾杯して、最初は仕事の話ばっかりしてた。


そのうち、私ばっかり話していることに気づいて、


「なんか、今日の伊勢くんはいつも以上に寡黙だね」


と、からかった。


伊勢くんは、普段からペラペラ話すタイプじゃないけど、今日は飲んでるのに静かだった。


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