20代最後の夜は、あなたと
「課長から聞いた?」


「うん、頑張ったかいあったよね」


「話って、それだけ?」


「う、うん、それだけだよ」


伊勢くんには関係ないし、そこまで話す仲じゃないし。


「そっか、ならいいけど。


あ、宮本さ、夏休みって・・・」


伊勢くんが何か言いかけたけど、私のデスクの内線が鳴った。


「あっ、ごめんね」


内線をとり、私あての外線に切り替えた。


取引先と話してる間に、伊勢くんが何か言いかけてたことは忘れてしまった。



8月になり、新製品のプロジェクトチームが正式に発表された。


伊勢くんも私も、末席に名前があった。


雑用しかできないだろうけど、チームに加わることができただけで嬉しかった。


チームリーダーは霧島課長だった。


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