Lingerie






『好きです。つきあってください』



その言葉は遅かれ早かれ彼女に告げるつもりではあった。

それでも、まさか何の準備もしていなかったこの瞬間に音にするとは思わなんだ。

たまたま宣伝部にその物に用事を思い出した退社直前の時間帯。

他の社員は殆どが帰宅し残っているのはどの部署も少数の人間ばかり。

宣伝部にしても同じような物だろうと足を運んで捉えたのはまさかの姿であったのだ。

どこか儚げに、物寂しく自分の目に映りこんだ彼女の後ろ姿。

そんな哀愁に誘われるように。

自分が告白したと理解したのは彼女が怪訝な表情でこちらを振り返った瞬間だ。

視線が絡んだ瞬間にようやく我に返って『やってしまった』と密かに思っていた程。

告白するなんて自分でも思っていなかったタイミングだ。

当然受けた彼女も告白されるなんて思ってもみない帰宅寸前の状態で、告白の対象も自分ではないだろうと思い込んで他の人間を探している程。

いやいや、一応あなたに向けたんですが。と、忠告するより早くは理解してこちらに体を向けてくれた彼女。

ここまでくれば自分も開き直る。

改めて告白の意識を持ち直すと

「好きです、ミモリさん」

と、はっきりと告げていた。

それでもやはり怪訝な様子で弾かれた第一声は、

「何で私?」

何で?

何でと問われたら返す理由は多すぎて、それでも語れば異常だと思われて嫌煙されるだろうか?

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