Lingerie~after story~
いつもであれば攻撃的な姉の言葉にあっさり白旗を上げる場面であろう。
姉もそれを分かっているから『さあ、どう出る?』と言いたげな細目を向けてきているのだ。
でもね、……それに臆する今日の私じゃないのよ?
「おどおど、弱々だとか……20歳にもなって夜中に一人でトイレ行くのが恐いとか言って私を巻き添えにしてた紗々ちゃんに言われたくないのだけど?」
「………本当……可愛げなく反抗的になって。それを言えばお爺様の部屋の前を恐くて一人で通れなかったのはどこの誰かしら?」
「紗々ちゃんだって、時々取った点数の悪いテストをお爺様に見つかりたくなくてひた隠しにして……ああ、一回ビリビリに破いて池の鯉に餌と一緒に撒いてなかった?」
「紗々、寧々、」
段々とレベルの低い女同士のねちっこい言い合いになり始めた頃合い、さすがに黙ってはいられなかったらしい祖父の呆れた声音に、姉は咳払いし私は背筋を伸ばし直した瞬間。
『あはははははは』
小さくもその高らかなる笑い声は静寂を取り戻した空間にはっきりと響いて聞こえた。
すっかり忘れていた。
まだ手に持つ携帯は通話中の表示になっており、この一部始終の会話はどうやら向こうの九条くんに聞こえていたらしい。