Lingerie~after story~
反論しようにも実際その通りであるのだから唇を動かす事も出来ず、せめてもの反抗とばかりにフンッと顔の向きをガラス越しの室内へと戻していった。
そんな私を真似して、中に入るでもなく隣に立ちながら中を覗き込んだイズミがクスリ。
「あーら、また王子様爆発した直後かしら?」
「うん、アシスタントの子達が選んできた生地とかレースがお気に召さなかったみたいで、『色彩感覚どうなってる!』とか『当たり前の概念捨てろ!』とか『使い物にならねえ!』とまで言い切ってたわ」
「あはは、そんなの日常茶飯事のあいつの常套句よ」
「相変わらず仕事の面じゃ厳しいと言うのか、感じが悪いっていうのか。とことん自分の印象を落としたいどMなんじゃって思っちゃうわよ」
まあ、どっちかといえばどSな類なんだろうけどね。
自分に対する彼は信じられないくらいに激甘スタイルが多々で、それでも魅せる巧みさはMと言うより危険たっぷりなSというべきだろう。
人が本気で怯んで涙まで浮かべる姿に『可愛い』なんてガチな反応を返すお人だ。
それでも……甘いんだよな。
もう、………思い出してもなんか照れる程。
うっかり自分だけに向けられる彼の姿を脳裏に浮かべてしまえば、記憶と共に羞恥も浮上して。
慌てて掻き消しても時すでに遅しで、表情はかろうじて無を取り繕っても肌ばかりは正直に赤味がさしていたらしい。