愛人契約
誰だろう。

私は鳴りやまない電話に、思い切って出た。

『日満理?私よ。』

「お母さん……」

それは、母の声だった。

『この間はごめんね。実はもうお母さん、その人とは終わっているのよ。』

「えっ……」

目の前の土下座している本田さんを、私は見つめた。


『でも、家族を捨てて来た分、やりきれなくてね。一方的に付きまとっていたの。』

そんな事を言われても、一言も返せない私は、心が狭いんだろうか。

『勇介から聞いたわ。あなたを失いたくないって。』

私は、息が止まった。

『あなたも、勇介が好きなのでしょう。悪いのは、私だけよ。勇介は何も悪くない。』

「お母さん。わざわざ、それを言いに?」

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