愛人契約
「このホテルの6階に、いい店があるんだ。行こう。」

本田さんは立ち上がると、私の目の前に、手を差し出した。

「ありがとうございます。」

そっと手を握って、軽やかに立たせてくれた本田さんは、ジェントルマンのようだった。


エレベーターは、一番奥にあって、私はそんな本田さんの後ろをついて行った。

手は外され、本田さんはズボンのポケットに、両手を入れた。

時々立ち止まっては、私が付いてきているか確認する本田さん。

ここで私が、逃げると思っているのかな。

それは、ないと思った。

きっかけは、愛人契約であっても、こんなにカッコいい人。

私の周りにはいない。

私、この人に抱かれるんだ……

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