愛人契約
「だから、最初から飲みたい物を飲むのか。」

「はい。」

そして本田さんは、手を挙げてウェイターを呼んだ。

「昼間だから、飲みやすいモノにしよう。君、キャンティを。」

「畏まりました。」

さらりと頼むところを見ると、本田さんは私とは真逆で、こういうお店には慣れているのだろう。


「さて。今のうちに少し、話ておきたい事があるんだ。」

「あっ、はい。」

私は、本題に入る前に、背筋を伸ばした。

「僕はね、会社を経営しているんだ。正直、仕事が忙しくて、今のところ恋愛する暇はない。もっと言えば、恋愛に興味がないんだ。それでも、欲求を満たす為にデリバリーも頼んでみたんだが、これが厄介な奴もいてね。それで素性がしっかりした人に、愛人契約を求めたんだ。君は?」


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