愛人契約
胸がドクンと鳴った。

耳元で言われたのもそうだけど、”セックス”って……

そんな言葉、昼間から口にできるなんて、この人は本当に、欲求だけなんだ。


「もう、そろそろ行こうか?」

「……どこにですか?」

「どこって、部屋にだよ。」

いつの間にか、本田さんの手の中には、鍵があった。

「あ、あの……本田さん?」

「ここで騒いだら、どんな事になるか、分かっているよね。」

ズキッと胸が痛んだ。


本田さんは、確信犯だ。

女を黙らせる事に、長けている。


私が立ち上がると、本田さんは私の手を握った。

それは、到底甘いものではなく、”逃がさない”と言わんばかりの。

クラクラする。




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