愛人契約
「……興味が……あったのかもしれません。」

お金で性を買う人と、買われる人。

それを契約と呼ぶ人達に……


「じゃあどうだろう。僕は、期待外れだったのかな。」

「いいえ、そんなんじゃないです!本田さんは、とてもカッコ良くてっ!」

そんな私に、本田さんは目をキョトンとさせた。

「いえ、その……とても素敵な人で……夢のような出会いでした。」

「ははは。それじゃあ、少しは期待していいのかな。」


家の近くまで来た私は、タクシーを止めた。

「連絡待ってるよ。」

本田さんは私がタクシーを降りる時に、そう耳元で呟いた。

最後まで、ジェントルマンだった本田さん。


これでいいんだ。

私は静かに、目を閉じた。

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