愛人契約
「だから、こういう世界が普通にあると、思っちゃうんだよね。」

三宅先輩は、どこか肝の座った人だった。

大抵の事では、動じないと言うか。

それが、そういう生い立ちから来ているとは、今の今まで知らなかった。


「で?どうするの?泰介君の手術費用。」

「……考えていませんでした。」

三宅先輩は、はぁっとため息をついた。

「まあ、保留って事は猶予期間があるんでしょ?」

「はい。」

「その間に、よく考えなよ。」

「そう……ですね。」

三宅先輩はそう言うと、休憩室を去って行った。


本田さんに抱かれたら、私は愛人契約以上の事を求めてしまう。

それは、望んでも叶わない夢。
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