愛人契約
「そうか。よかった。これからはもっと、今日みたいに稼ぐ機会を増やすよ。」

「えっ……」

もしかして、誰もいなかったって言うのは嘘?

弟の事も心配して、わざと私に援助の機会を与えてくれたの?


どうしよう。

本田さんの優しさが、身に染みる。

この契約には、愛がないのに。


私は、そっと本田さんに手を伸ばした。

指先が、本田さんの指先に触れる。

ああ、これだけでいいい。

どうか、手を引かないでほしい。

今だけ今だけ……


その時だった。

本田さんの指先が離れた。


途端に寂しくなる指先。

そうだよね。

契約だけの関係なのに、それ以上を求めちゃダメだよね。

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