愛人契約
気づいたら、泰介のいる病院に着いていた。

「姉ちゃん。どうしたの?急に。」

頭に包帯を巻いて、一命を取り戻した泰介。

時々、腕が震えるって言っていたけれど、それぐらいの後遺症でよかった。


「……お姉ちゃんね。何だか、疲れちゃって。」

私は、泰介のベッドに上半身を放り投げた。

「姉ちゃん。頑張り過ぎたんだよ。」

「うん。」

「これからは、俺がいっぱい勉強して、姉ちゃんを楽させてやるから。」

「……うん。」


また涙が零れてきた。

勇介さんの元を離れて、お母さんとも決別してきて、何もかも失ったなんて、どうして思ったんだろう。

私には、泰介がいるじゃない。

< 99 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop