血まみれ椿姫
悲しみ
気が付けば俺は自分の部屋にいた。


血まみれだったはずの服はいつの間にか部屋着へと変わっていて、窓の外は明るかった。


今、何時だ?


ぼんやりしたままの頭でスマホを確認すると、昼の12時になっていた。


花火をした夜から2日経過しているのを見て目を見開く。


俺は弾かれたようにベッドを抜け出し、リビングへと向かった。


ドタドタと足音を立てながらリビングのドアを開けると、驚いた表情を向ける母親と目があった。


「……!」


あの日何が起こったのか聞こうと思ったのだが、言葉が出てこなかった。


「もう、大丈夫なの?」


代わりに母親からそんな質問をされて、俺は小さく頷いた。


「風花ちゃんと綾菜ちゃんの葬儀は明日よ」


穏やかな口調でそう言う母親に、俺の胸は鷲掴みにされた。


風花と綾菜ちゃんの葬儀……。


今、一番聞きたくない言葉だった。


今、一番信じたくない出来ごとだった。
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