血まみれ椿姫
どうにかして城と2人で行動したい。


「入院先は?」


そう聞くと、母親は病院名を書いた紙を俺に渡してくれた。


それから、サイフから五千円札を一枚取り出し、俺のポケットにねじ込んだ。


「お見舞いに行くんでしょ? 少し遠いからタクシーを拾いなさい」


そう言い俺の背中をトンッと押す。


今回の事件で子供を1人で行動させるなんて嫌だろうが、母親はそう言って微笑んだ。


俺の考えている事なんてお見通し。


そんな感じがして少し照れくさかった。


「行ってきます」


俺は母親へ向かってそう言うと、家を出たのだった。

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