血まみれ椿姫
「先輩」


声をかけると、先輩がこちらへ向かって走って来る。


「久しぶりだね」


「4日ぶりですね。この荷物すごいな」


「女の子は色々と荷物が必要なのよ」


そう言いながら、先輩は手にもっていた紙袋を俺に渡してきた。


中を見ると北海道名物のお菓子が入っている。


「これ、俺にですか?」


「そう。っていうか、いい加減敬語つかうのやめてよ」


そう言い、少し頬を膨らませる古家先輩。


「頑張るよ」


俺は眉を下げてそう言った。


あんなことが起こってから、俺たちは付き合い始めていたのだ。


誰も知らない大きな秘密を持っているというのが、互いの負担にならないよう、支えあっているのだ。


そんな言い方をすると聞こえはいいけれど、1人じゃ耐えられない。


ただそれだけの事だ。
< 214 / 228 >

この作品をシェア

pagetop