願わくば、君の幸せ
いつだって私は羽斗吏だけ。
怒る羽斗吏、笑う羽斗吏、泣くの我慢する羽斗吏…
悔しがる羽斗吏、嬉しいと私に遠慮なく飛び付く羽斗吏……
どんな羽斗吏も、私だけが知ってる。
でも、彼女にだけ見せる羽斗吏の顔だけは……
知らない。
「 沙和、悠平、二人に大事な話する 」
改まって、背すじ伸ばす二人に嫌な胸騒ぎ。
早まる心音……
テーブル下に手を隠して握った。
「 沙和、悠平…… 俺、絵美と… 」
え……
聞こえた言葉に、私の見ている羽斗吏が揺れた。
斜めに傾くように見えた。
私の中にある大切な思いが砕けてしまった。
“ 結婚する ”
羽斗吏は絵美と優しい笑みを見せ合ってる。
私の中で、羽斗吏が結婚なんて言葉、ないはずだった。
手が、震える……
羽斗吏を見れない……
息が出来ない……
「 ……和、沙和、沙和っ 」
「 あ…… 何、えっと…… 」
「 大丈夫ですか?顔色が… 」
吐きそう……