花と蝶
列榮堂に戻ると金尚膳が正嬪の帰りを待っていた。
「金尚膳、以下がなさいました?」
「主上殿下が今宵、宴席を開くと仰せです。ぜひ、ご出席を」
「わかりました。わざわざありがとう」
「では、わたくしめはこれで」
金尚膳はそういうと列榮堂を後にした。正嬪は直ぐに部屋に入った。朴尚宮は内人に命じて茶菓子を用意させた。
「こんなに早く僖嬪媽媽に見えることになるとはね」
正嬪はため息をついた。朴尚宮はそれを聞き逃さなかった。
「お疲れですか?」
「少しね」
「宴会までお時間がありますし…少し休まれては?」
「平気よ…淑嬪はこなたをよく思ってくれているけれど中殿媽媽がああやって怒るくらいなんだから、僖嬪媽媽はそれ以上だわね。気が重いわ」
「出席をお辞めに?」
正嬪は首を横に振る。
「行かなければ行かないで誹謗されるわ…私の立場なんてそういうものだわ」
正嬪は机に頬杖をついた。そこに茶菓子が運ばれてきた。桂花糖糕だ。
「あら、こなたの好物よ」
「内人に作らせました」
「ありがたいわ」
桂花糖糕を正嬪は頬張った。久しぶりの甘味に少しだけ心が弾む。
「桂花糖糕がこんなに甘かったなんて初めてしつまたわ」
「ずっとお心が苦しかったのでしょう」
「言い得て妙だわ」
正嬪が桂花糖糕に手を伸ばす。朴尚宮はようやく安堵の表情を見せた。
「金尚膳、以下がなさいました?」
「主上殿下が今宵、宴席を開くと仰せです。ぜひ、ご出席を」
「わかりました。わざわざありがとう」
「では、わたくしめはこれで」
金尚膳はそういうと列榮堂を後にした。正嬪は直ぐに部屋に入った。朴尚宮は内人に命じて茶菓子を用意させた。
「こんなに早く僖嬪媽媽に見えることになるとはね」
正嬪はため息をついた。朴尚宮はそれを聞き逃さなかった。
「お疲れですか?」
「少しね」
「宴会までお時間がありますし…少し休まれては?」
「平気よ…淑嬪はこなたをよく思ってくれているけれど中殿媽媽がああやって怒るくらいなんだから、僖嬪媽媽はそれ以上だわね。気が重いわ」
「出席をお辞めに?」
正嬪は首を横に振る。
「行かなければ行かないで誹謗されるわ…私の立場なんてそういうものだわ」
正嬪は机に頬杖をついた。そこに茶菓子が運ばれてきた。桂花糖糕だ。
「あら、こなたの好物よ」
「内人に作らせました」
「ありがたいわ」
桂花糖糕を正嬪は頬張った。久しぶりの甘味に少しだけ心が弾む。
「桂花糖糕がこんなに甘かったなんて初めてしつまたわ」
「ずっとお心が苦しかったのでしょう」
「言い得て妙だわ」
正嬪が桂花糖糕に手を伸ばす。朴尚宮はようやく安堵の表情を見せた。