花と蝶
星が輝きを増すころ、欣宗は皆を集めて酒を酌み交わしていた。欣宗の隣には中殿韓妃が機嫌悪そうに座っている。
元々、2人の仲は良くない。中殿韓妃が冊妃されたころから欣宗には李世蘭(イ・セナン)という内人と懇ろになっていたのだ。
欣宗にとって世蘭は初恋の人だった。中殿韓妃は王妃でありながら、顧みられることはなかった。自尊心の強い彼女には屈辱でしかなかった。たかが内人に王妃が泣かされていることが嫌だった。だから、欣宗から世蘭を引き離して、彼女を亡き者にしたのである。
内人や尚宮、後宮のことは全て王妃の管轄であるから、欣宗は忸怩たる思いだった。
宴会の様子を見回していた正嬪が一つ席が空いていることに気づいた。こっそり後ろに控えていた朴尚宮に尋ねる。
「あの席は?」
「僖嬪媽媽の席でございます」
中殿韓妃よりも遅く現れる僖嬪とはどんな女性なのか正嬪は好奇心に駆られた。
聞けば、紫薇のように華やかな女人らしい。しかし、紫薇には棘がある。
きっと美しい他に何かあるはずだ。
「主上殿下、遅くなりました」
珊瑚色のチョゴリを纏った女人が尚宮と内人を引き連れて現れた。僖嬪だ。
確かに華やかで、その中には艶めかしさも秘めている。
元々、2人の仲は良くない。中殿韓妃が冊妃されたころから欣宗には李世蘭(イ・セナン)という内人と懇ろになっていたのだ。
欣宗にとって世蘭は初恋の人だった。中殿韓妃は王妃でありながら、顧みられることはなかった。自尊心の強い彼女には屈辱でしかなかった。たかが内人に王妃が泣かされていることが嫌だった。だから、欣宗から世蘭を引き離して、彼女を亡き者にしたのである。
内人や尚宮、後宮のことは全て王妃の管轄であるから、欣宗は忸怩たる思いだった。
宴会の様子を見回していた正嬪が一つ席が空いていることに気づいた。こっそり後ろに控えていた朴尚宮に尋ねる。
「あの席は?」
「僖嬪媽媽の席でございます」
中殿韓妃よりも遅く現れる僖嬪とはどんな女性なのか正嬪は好奇心に駆られた。
聞けば、紫薇のように華やかな女人らしい。しかし、紫薇には棘がある。
きっと美しい他に何かあるはずだ。
「主上殿下、遅くなりました」
珊瑚色のチョゴリを纏った女人が尚宮と内人を引き連れて現れた。僖嬪だ。
確かに華やかで、その中には艶めかしさも秘めている。