【短】泣き虫先生とわたしの卒業
な、慰める? おれが?
無理、無理! だって、いつも慰めてくれるのが渚の方で。おれ、泣いてるし!
いやいやいやいやっ!!
普通は先生が生徒を励ますんだった。何やってんだよ、おれ。
慰められるのが普通とか、どうかしてるよ!
ちょっと甘えすぎてた?
まあ、そうだよな。
「渚」
呼んでみたが返事がない。
窓の向こうを見遣ったまま、何かを考えてるみたいだ。
仕方なく、おれは座ったまま待つことにした。
渚の横顔を見ていると思い出す。
こうやって渚と図書室にいることも、話をすることも、みんなあの日から始まった。
少し変わってるおれたちの関係。
渚がいたから、おれは教師として頑張れた気がする――――。