【短】泣き虫先生とわたしの卒業

 生徒の前で弱音とか、おれはもう駄目だ。本当に駄目人間だ。



「普段、雑談してる時みたいな雰囲気で授業すればいいでしょ?」

「うん。でも、おれ……」



 自信がない。
 そう言おうとしたら、速水がおれの頭に手を置いた。



「も、もう、わかったからさ。協力するから、今日はもう帰らせて!」

「……え? え! え!?」

「だってさ。そんなゆうちゃん、あんま見たくない……」



 照れながら言う速水は、やっぱりレアだとおれは思う。


 速水渚とおれの図書室での相談は、こうして始まった。
 慰めてもらうことが大半だったが、速水はおれの話を真剣に聞いてくれた。


 嫌がらず、馬鹿にもしない。
 おれにとって、心の支えになったのは確かだった。

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