蜜月同棲~24時間独占されています~
「良かったね、いい雰囲気で終われて」
「うん。さやかも、ありがとう」
会社を出て、駅までの道をさやかとふたりで歩く。
もうこうして、この流れで飲みに行ったり買い物に行ったりとすることもないのだと思うと、寂しさがやはり押し寄せてくる。
私物を入れた紙袋が、がさがさと歩く速度と同じテンポで揺れる。
淡いピンクとオレンジの花を集めた花束は、ふんわりと良い香りがした。
「ね、良かったらこれから飲みに行かない?」
さやかがそう誘ってくれたけれど、今日は克己くんと約束をしてしまっている。
「あ……今日はこれから克己くんと食事に行く約束になってて」
片手を顔の前で立てて、ゴメンとジェスチャーする。
すると、さやかがまたにまあっと笑った。
また、というのは、この頃私が克己くんの話をするたびにこれだからだ。
「いいわよいいわよ。またね」
「うん、また後日、絶対!」
駅のロータリー、今朝、克己くんに降ろしてもらったところで待つことにして、さやかに手を振る。
改札を通って人波に消えていくのを確認して、ベンチに腰を下ろした。
ちょっと遅れる、と連絡は入っていた。
こっちも会社からスローペースで歩いてきたし、それほど待つこともないだろう。