蜜月同棲~24時間独占されています~

頭を囲われて顔中にキスをされ、甘い空気に慣らされる。


「朝ご飯、作らなきゃ……」

「あー、仕事、行かなきゃな」


だるそうにそう言って、こつんと額を合わせる。
しばらくそうしてから、はあっと溜息を吐きようやく彼が起き上がった。


シャワーを浴びてくる、という彼を見送った後、どっと疲れを感じる。
決して嫌なわけじゃない嬉しいのだけど、キャパオーバーだ。


思えば克己くんと再会してからずっと、なんだかんだと克己くんの言葉に乗せられ段階を踏んでこの状況に近づいてきた気がする。


「……あれ? 結構計画的?」


服に着替えながら考えていて、そういえばここに住むことになった経緯も強引で不自然だったし、お見合いも適当に合わせといてスルーすればいいという話だったのに、行ったらまんまと親公認になってしまった。


最初からこうするつもりだったのだとしたら、克己くんっていつから計画してたんだろう。
そう思えば、ちょっと空恐ろしい。


着替え終えて簡単にまず髪をまとめ、考えるのは一時中断。
今日も仕事の克己くんに朝ご飯を用意しなければいけない。


昨日は洋食だったから、今日は和食にするつもりだったけれど、夕べはなんだかそれどころじゃなくて昆布だしを事前に漬けておくことを忘れていた。


オムレツにしようかな。
トマトとツナを入れて、チーズも入れたら朝からボリュームがあり過ぎだろうか。


気持ちを言葉にするのは怖い。
けれど、こうして克己くんのために食事のメニューを考えたりすることだできるのは、幸せだった。


『焦らなくていい』


そう言ってくれた克己くんの言葉が、優しくゆっくりと、私の心を解いていくのがわかった。

< 153 / 200 >

この作品をシェア

pagetop